市が注意喚起 ごみ回収やマップ確認を

クマによる被害や市街地での発砲を認める「緊急銃猟」の実施が連日のように報じられる中、大津市内の住宅街でも10月以降、クマとみられる動物を含め、目撃情報が相次いでいる。市内には山が迫った住宅街も少なくなく、市は注意を呼びかけている。(生田ちひろ)
11月11日午前3時10分頃、大津市伊香立北在地町で「クマを見た」と車で通りかかった男性から110番があった。体長約1メートルといい、集落が近いため、大津北署は通学時間帯に警戒態勢を敷いた。
また、市によると、9日午後9時頃に同市雄琴の児童クラブ前で「クマらしき動物を目撃した」との情報が翌10日に寄せられた。小学校や保育園も近く、小学校では同日、事前に作成したマニュアルに沿って、教職員がクマよけ鈴や撃退スプレーを携帯した上で、児童に付き添って下校させるなどした。
この学区では10月から目撃情報が寄せられており、小学校が独自に付き添い方法や情報共有先などをまとめた対応マニュアルを作成。スプレーなども購入していた。大津署員らも登下校時の警戒を強化しており、11日以降もしばらく同様の対応を続けるという。
市が昨年10月から公開している「クマ出没マップ」によると、6月は11件の目撃情報が寄せられた。今年度最多で、草津市境の青山にある小学校近くも含まれていた。7月は4件、8月にはグラウンドの利用者も多い茶臼山公園(秋葉台)などで2件、9月は南比良で1件だったが、10月は6件に増加。若葉台や北大路、比叡平などの住宅街や、JR蓬莱駅から約200メートルの八屋戸からも情報提供があった。11月は11日午後5時現在で伊香立北在地町や雄琴の事例も含めて6件となっている。
過去2年は大津市堅田以北で多かったが、今年度は市南部でも増えている。市は重複する可能性がある情報などは省いており、2020~23年度は10件以下だった。ところが、24年度は52件と大幅に増え、今年度も10月末までに28件(前年同期比16件減)となっている。
県のまとめでは、今年度の県内全域での目撃情報は91件(10月末現在)。重複などの精査をしていない速報値で、内訳は大津市が31件で最も多く、高島市24件、長浜市21件、米原市12件、東近江、栗東、湖南市各1件となっている。
県鳥獣対策室によると、クマは冬眠を控えた秋に餌を求めて行動範囲を広げる。餌があると寄りつくため、「餌になる生ごみやコンポスト、有機肥料などは屋外に置かない」「ハチの巣や収穫予定のない果樹の実は撤去する」といった対策の重要性を指摘。クマが行動する夜間から明け方は外出を避け、目撃したら110番や自治体に通報するよう求めている。大津市農林水産課も「クマ出没マップを参考に、外出する際は気をつけてほしい」としている。