蜂蜜から造る「ミード」。世界最古の酒ともいわれながら、醸造家が少なく認知度も低い酒を造り続けてきた野洲市永原の「アンテロープ」(谷沢優気代表)が、世界最大級の品評会で最高位の「グランドチャンピオン・プロ」に輝いた。公式の受賞記録によると、日本の醸造所が同賞を受賞したのは初めてという。(河村真司)
アンテロープ「アウリア13」 品評会で日本初栄冠

今年2月、ポーランドで開かれた「ミード・マッドネス・カップ」で、谷沢さんが出品した「Aurea13」(アウリア13)が、100点満点中98点を獲得。777品の中でトップとなった。
甘さと泡特徴 味わい繊細
ミードは蜂蜜と水、酵母から造り出される。静岡の養蜂家・塩見亮太さんが集めた蜂蜜を使っており、「マスカットやミントの香りもする」と谷沢さん。「国産の蜂蜜で造りたかった」と意気込む一方で「繊細な日本の味が認められるだろうか」と不安もあったという。だが、結果は▽味わい▽香り▽余韻の長さ――など5項目の採点はいずれも高評価。
「アウリア」はラテン語で黄金の意。蜂蜜の色合いを表現しつつ、塩見さんの「塩見を『403』とあて、因数分解したら13と31になった」と命名理由を明かす。同じ蜂蜜から、アルコール度数6%の「13」と12%の「31」と二つのアウリアを造り、甘さと泡が特徴の「13」を出品した。谷沢さんは「同じ原料からアルコール度数2%から10%以上のものまで、熟成樽を変えれば香りも変えられる。蜂蜜が持っている面白さを表現したい」と話す。

2019年、東京で開かれたビールの国際祭典で、世界的なミード醸造所のものを飲んで衝撃を受けた。甘くて酸っぱいアルコール入りのジャムのような液体。クラフトビール醸造を目指して修業を重ねていたが、方針を転換した。製パン工場だった場所に設備を整え、20年にアンテロープを創業した。
ミードは、商業ベースに達しない糖度の低い蜂蜜からも生み出せる。「それでも養蜂家それぞれの味がしっかり出る。新しい光を当てられる可能性がある」と農業活性化への未来像も描く。
「アウリア13」(500ミリ・リットル、税込み2860円)の在庫は完売したが、8月中旬には今年採取した蜂蜜での新酒が出来上がる予定。同社のミードはサイト(https://antelopemeadery.com)から購入できる。