衆院解散から投開票まで16日間と、真冬の超短期決戦となった衆院選。前回選で野党は県内で勢力を伸ばしたが、今回は態勢を整える間もなく選挙戦に突入し、苦戦を強いられた。
2月1日、草津市のJR草津駅前。滋賀3区の中道改革連合・早智敬の集会に立憲民主党、連合滋賀、公明党や支持母体の創価学会の関係者が顔をそろえた。

中道改革は、立民と、連立政権を離脱し野党になった公明が1月27日の公示直前に結成した新党だ。選挙戦も中盤に差しかかったこの日、初めて早の応援に入った公明県本部代表の清水ひとみは「今日からが勝負。逆転大ホームランを皆さんの力で実現して」と聴衆に呼びかけた。しかし、その訴えに出遅れ感は否めなかった。
公明の支持者にとっては「選挙区は自民、比例は公明」が当たり前だった。「中道」とは何なのか。清水は支持母体の創価学会関係者らへの説明に追われていた。「時間が全然足りない」と焦りの色は隠せず、強固な組織力をフル稼働させることはできなかった。
「生活者ファースト」の旗印の下、早は食料品の消費税を恒久的にゼロとし、政府系ファンドで財源を捻出するなどと主張したが、与野党が消費税減税に言及する中で埋没。立民が擁立を主導した「落下傘」候補で知名度も足りず、候補者6人が乱立した3区での得票は野党でも参政党を下回り、4番手に終わった。
中道改革は、2区でも前回選は立民から出馬した平尾道雄を公認。共産党が候補者を擁立せず、唯一の野党候補として挑んだが、得票は自民・上野賢一郎の3分の1の得票にとどまり、連立政権を組む日本維新の会の候補とも得票率は0・1ポイントしか差がなく、対立軸にはなり得なかった。
「中道の塊をこの選挙1回限りにはしたくない」と立民県連代表の今江政彦。「ここを踏ん張れたらまた挽回できるし、我慢が必要だ。まずは来年の統一地方選で非自民の勢力を増やしたい」と再起を誓う。
他の野党も伸び悩んだ。参政は、前回選で3区から出馬した北野裕子が比例復活。今回は県内での比例票を倍増させたものの、北野は比例重複ではなかったため、議席を失った。
共産は県委員会が目標とした比例票には遠く及ばず、れいわ新選組は3区で候補者を立てたが、最下位だった。
一方、国民民主党は1区の河井昭成が比例復活を果たし、野党で唯一、議席を獲得した。

1区は元々、旧民主党の重鎮・川端達夫の地盤。河井は川端と同じ東レ労組出身で、後継として出馬した。民間労組のUAゼンセンに所属し、連合滋賀にとっては、川端や現知事の三日月大造以来となる衆院選での組織内候補で、「絶対に落とせない」と組織固めを徹底。選挙戦初日にUAゼンセン本部の会長が応援に入り、国民民主幹事長の榛葉賀津也も「選挙区で勝ってもらわないと困る」と発破をかけていた。
ただ、維新の斎藤アレックスの存在がネックとなった。斎藤は国民民主出身で、前回選では公示の前に維新へ合流。国民民主が候補者擁立を見送ったこともあり、連合滋賀の組織票の一部も取り込んで小選挙区で勝利していた。
今回、河井と斎藤の得票を足せば自民の大岡敏孝を上回ったが、河井は斎藤に及ばなかった。連合滋賀会長の白木宏司は「旧民主系の塊はあるが、集約できたかは悩ましい」と吐露。結果として、河井も斎藤も比例復活し、1区が地盤の議員が3人誕生することになった。
(敬称略。矢野彰と青山大起が担当しました)