草津出身・今井
悠翔
選手
11月に開催される聴覚障害があるアスリートによる国際大会「デフリンピック東京大会」(読売新聞社協賛)で、テニスの日本代表に草津市出身で京都産業大職員の今井悠翔選手(25)が選ばれ、男子シングルスとダブルス、ミックスダブルスの3種目に初出場する。前回大会も代表入りしたが、コロナ禍で日本が出場を辞退しており、「選手生活の集大成」という覚悟でコートに立つ。(矢野彰)
デフリンピック テニス3種目
今井選手は先天性の難聴で、両耳がほとんど聞こえない。生後すぐ、呼びかけに反応がないことに両親が気づき、2歳の頃から右耳に人工内耳を装着している。
テニスを始めた小学4年の頃、2009年のデフリンピック男子ハンマー投げ金メダリスト森本真敏選手(40)の体験談を聞く機会があり、「自分も出場してメダルを取りたい」と憧れを抱いた。水泳、空手、野球、体操、テニス――。いろいろと挑戦した中で、「一番しっくりきた」テニスで夢を追うことにした。
中学は軟式、県立玉川高では硬式テニス部に所属。近所のスクールでも練習に打ち込んだ。高校1年の時、近畿大会での対戦相手が聴覚障害のある選手だったのをきっかけに、聴覚障害者によるテニス(デフテニス)の競技団体を知り、大会にも出るようになった。
デフテニスは、ルールは変わらないものの、試合では人工内耳や補聴器を外して戦う。通常は相手が打つタイミングでステップを踏んで動き出すが、音が聞こえないと合わせづらい。相手のフォームやラケットの振り方をよく観察し、展開を先読みして位置取りする必要がある。
また、ダブルスでは声で意思疎通ができないため、初めて組む相手と息を合わせるのは至難の業。状況に応じてどのボールをどちらが拾うかなど事前に話し合い、綿密に戦略を立てて臨むという。
京産大に進み、健常者の大会に出る傍ら、デフテニスの国際大会で上位に食い込む実力をつけ、22年のデフリンピック大会で代表入り。だが、コロナの影響で出場はかなわなかった。
卒業後は京産大の職員となり、硬式庭球部でコーチを務め、23年には監督に就任した。仕事に練習、監督として指導や部の運営に追われ、プレーの調子を落とした時期もあったが、デフテニスの国際大会での実績などが評価され、7月に東京大会出場が決まった。
「持てるパフォーマンスを悔いなく発揮できるようトレーニングを積み、まずはしっかりやりきりたい」と今井選手。「どの試合もチャレンジ精神を持って臨み、金メダルを狙う」と力を込める。