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祈りの白磁 奉納

祈りの白磁 奉納

人間国宝 陶芸家・神農さん

 青磁の重要無形文化財保持者(人間国宝)で陶芸家の神農巌さん(67)(大津市)が、天台宗総本山・比叡山延暦寺(同)に白磁の香炉「祈り」を奉納した。神農さんは「滋賀は字のごとく、水を慈しみ、祝い、喜ぶ信仰があつい地域。古代湖のフィールドから発想して『祈り』が生まれた」と話している。(林華代)

比叡山延暦寺 古代湖から着想

祈りの白磁 奉納
比叡山延暦寺に奉納された「祈り」(大津市で)
(上)獅子王執行(右)に目録を手渡す神農さん(中央)(右)神農さんの作品にいける池坊さん(左)献茶する通仙庵さん(いずれも大津市で)
(上)獅子王執行(右)に目録を手渡す神農さん(中央)(右)神農さんの作品にいける池坊さん(左)献茶する通仙庵さん(いずれも大津市で)
神農さんの作品にいける池坊さん(大津市で)
神農さんの作品にいける池坊さん(大津市で)
献茶する通仙庵さん(大津市で)
献茶する通仙庵さん(大津市で)

 神農さんは京都府福知山市出身。大学で陶芸部に入り、展覧会で中国・北宋時代の青磁や高麗青磁に魂を揺さぶられ、「天職にしよう」と決意した。その後、陶工職業訓練校などで技術を学び、「空の あお 、湖の みどり が追い求める青磁のイメージに重なる」と、30歳で琵琶湖を望む大津市の高台に窯を構えた。生命の根源となる水や女性、植物の種子をモチーフに、泥状の磁器土を筆で何度も塗り重ねる独自の「 堆磁ついじ 」と呼ばれる装飾技法で、繊細な装飾を造形と一体化させている。

 「祈り」は、先祖への感謝、家族の健康・平安を願う心などを形にしたいという長年の思いが結実した作品。人が手を合わせて祈る形で、仏を象徴する「ハス」が開花する姿とも重なる。内部は漆の上に 金箔きんぱく を施しており、別の作家に制作依頼した、十六菊の中央に三つ星を配した天台宗の宗章「 三諦章さんたいしょう 」を純銀で透かし彫りした金具「 火屋ほや 」を据えている。

 奉納式は24日に国宝・根本中堂であり、神農さんが「祈り」を奉納。延暦寺の僧侶が奉納法要を営んだ。神農さんの作品で献花、献茶が行われ、家族や知人ら約180人がその様子を見守った。

池坊さん 献花

 献花では、湖の白波や、涼やかな青をグラデーションなどで表した「青磁堆磁線文 つぼ 」に、華道家元池坊の次期家元・池坊専好さんが、永遠を表すマツのほか、ビワの葉、シャクヤクなどをいけた。池坊さんは「いけばなは仏前供花から始まり、思いを形にするところは神農さんと共通する。真っさらな器で、人間国宝だからこそ生み出せる純粋さが伝わってきました」と話した。

通仙庵さん 献茶

 献茶は、親交のある煎茶道 黄檗おうばく 売茶流家元の通仙庵孝典さんが、高台に金の十六菊を施した「青磁平成茶 わん 」で行った。通仙庵さんは献茶後、「このような機会に立ち会えて身の引き締まる思い」と語った。

 延暦寺の獅子王 圓明えんみょう 執行は「青磁は中国から伝わり、伝教大師も中国で修行され、延暦寺を開かれた。ご縁を感じる」と喜んだ。

 神農さんは「皆さまから大きな光と力をいただいた。さらに高みを目指し、制作に励みたい」と思いを新たにしていた。

 「祈り」は、延暦寺の国宝殿で展示される予定。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 祈りの白磁 奉納

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