竜王町は、11月に開催された聴覚障害があるアスリートの国際大会「デフリンピック」の東京大会で、陸上男子ハンマー投げで銀メダルを獲得した町出身の森本真敏選手(40)(日神不動産)に町民栄誉賞を贈った。町制70周年を記念して今秋に創設された賞で、第1号となった森本選手は「銀メダル獲得だけでなく、ふるさとから表彰していただいた」と喜び、現役続行を表明した。(中村総一郎)
森本選手は生まれた時から重度の難聴。県立
身長1メートル81。3年生の時に高校総体(インターハイ)で10位になるなど記録を伸ばしていき、2009年のデフリンピック台北大会で金メダルに輝いた。13年のソフィア(ブルガリア)大会でも銀メダルを獲得。この年に出した63メートル71は、10年以上たった今も世界デフ記録のままだ。
しかし、ソフィア大会後、「燃え尽きた」という気持ちと、右脚のけがで引退した。その後、けがの痛みが消え、「もう一度挑戦したい」という気持ちが湧き出てきて、20年に現役復帰。22年のカシアスドスル(ブラジル)大会で再び銀メダルを手にした。
東京大会には「最後の挑戦」として臨んだ。結果は、母校・筑波大の後輩でもある遠山
そして何よりも、「もっといける。もう一度投げたい」と、現役を続ける気持ちに変わった。「1年、1年少しずつ進みたい。4年後のデフリンピックに行けるかも」と前を向く。

町民栄誉賞の表彰式は3日に町役場であり、西田秀治町長は「輝かしい成績は努力の結晶。私たちの胸を熱くしてくれた」とたたえた。記念の盾を受け取った森本選手は「うれしいのひと言。ハンマー投げの技術、デフスポーツの素晴らしさ、そして、手話の重要性を若い世代に伝えたい」と手話で抱負を語った。