彦根 安価代行サービス 好評
犬の散歩に買い物代行、話し相手……。日常生活のちょっとした困りごとを安価でサポートする県立大大学院生が起業したサービスが彦根市内で好評だ。利用者の多くは高齢者で、スタッフの学生と交流できることも人気の理由の一つとなっている。草津市でも近くサービスを開始する。(清家俊生)
学生スタッフ 犬の散歩など
「散歩の時間だよ」。6月下旬の早朝、サポート会社「ぴあノバ」社長の橘啓輔さん(27)が住宅に向かって声をかけると、
飼い主の堀部百合子さん(71)は、座骨神経痛を患っており、4月下旬から日課の犬の散歩を同社に依頼している。「元気があったら私が行きたいけど……。ちょっとしたことを助けてくれるサービスはありがたい」と感謝する。
「ぴあノバ」は2020年12月に設立し、23年11月に法人化。県立大大学院環境科学研究科に通う橘さんが、コロナ禍で学生間の交流ができない県立大生向けにコミュニティーアプリを製作したことをきっかけに、利用する学生と地域住民が交流する場をつくろうと、23年1月からサポートサービス「ぴあサポ」を始めた。
同様のサービスは民間企業でも行っているが、利用料は1時間3000円程度が主流で、ぴあサポは30分880円と割安なのが特徴だ。サポートするスタッフは橘さんを含め約30人。大半が県立大と滋賀大の学生で、依頼を受けると、橘さんがスタッフと共有するSNSに依頼内容を書き込み、希望者が手を挙げる仕組みになっている。
依頼は、犬の散歩や庭の草むしり、病院の付き添いなど様々。5月には、少子高齢化で巡行が難しくなったみこしの担ぎ手として11人が参加したこともあった。「依頼は介護保険が適用されないものばかり。高齢者の不安をお手頃な金額で解決する仕組みをつくりたかった」と橘さん。最近は地元のケアマネジャーを通じた依頼も増えており、現在は立命館大生のスタッフを中心に草津市でのサービス開始に向けた準備を進めている。
ただ、課題もある。スタッフの時給は1200円で、会社の利益はほとんど上がっていないのが実情。7月からは利用料を30分1100円に改定するが、橘さんは「単純に価格を上げればよい、というものではない。今後、会社をどう運営していくか模索しながらサービスを提供していきたい」と話している。
サポートの依頼は、ぴあノバ(070・4488・0087)まで。