県見込み 資材など高騰 14億円増
県は26日、2028年4月に野洲市に開校する県立高等専門学校(高専)の校舎など施設の整備費が、資材や人件費の高騰で約14億円上振れし、現時点で約152億円に及ぶ見通しだと明らかにした。基本設計の概要も発表され、学生らの交流の場や図書館には県産木材を使用するなどぬくもりのある施設となる。(矢野彰)
交流の場や図書館 県産木材活用
高専は、県立大の運営法人が設置主体。民間が設計から施工、運営を一括で担うPFI方式で整備する予定で、整備費は87億円を見込んでいたが、予定価格と事業者の試算に隔たりが大きく入札が成立しなかったため、設計と施工は別々に発注することにした。整備費は昨年7月時点で約51億円膨らんで138億円になる見通しだった。
県は昨年10月から基本設計を進めてきたが、建設契約を結ぶ来年4月までの物価上昇を反映すると、整備費はさらに14億円膨らむ見込みになったという。
公表された基本設計によると、校舎などは野洲市の県有地など約4万9500平方メートルの敷地のうち、約3万6500平方メートルに整備する。学生、教員、施設利用者にとって魅力的な学び、活動の場になるように校舎の交流スペースや、図書館などに県産木材を使用し、ぬくもりのあるしつらえとなっている。
「校舎棟」は鉄骨3階建て、延べ約1万900平方メートル。建物中央に学生や教員が集い、研究発表などに使える吹き抜けの大空間「交流スペース」を設ける。学生が自由に集える「フリースペース」や「自習スペース」も配置する。
企業や地域との共同研究の拠点や図書館を備えた「図書交流・食堂売店棟」(鉄骨2階建て、延べ約2400平方メートル)や「実習工場・実験室棟」(鉄骨1部2階建て、延べ約2200平方メートル)のほか、停電時の避難所利用も想定し、ガスの空調を備えた体育館、JR野洲駅から徒歩17分と通えるが、遠方の学生向けの寮(約50人)も整備する。今年度中に実施設計を終え、来年度着工する予定。
県高等教育振興課は「物価高騰とはいえ、2度の大きな増額は心苦しい。実施設計の段階で精査し、事業費の見直しを図り、費用を抑えられるか検討したい」としている。