
新人4人が争う草津市長選は18日の投開票に向けて、後半戦に入っている。にぎわいを見せるJR沿線と、のどかな風景が広がる田園地帯。二つの顔を持つ県内で2番目に人口が多いまちにとっては、自宅の最寄りから駅や病院、買い物に出かける「市民の足」をどう確保・維持していくかが課題となっている。(河村真司)
平日の昼下がり、JR草津駅西口を出発したコミュニティーバス「まめバス」は、6人の乗客を乗せて湖岸の「山田学区方面」へと向かった。循環路線の半分ほどにあたる約30分の運行中、5人が降りて1人が乗ってきただけ。記者が降りると乗客1人となったまめバスは、草津駅を目指し走り去った。
「6人乗っているのは多いほうでしょう。農地から見るバスには誰も乗っていないこともある」。田園が広がる山田学区まちづくり協議会会長(72)はそう語る。
まめバスは、前市長・橋川渉氏の市政1期目の2009年に、地域の足を守ろうと当初は4路線でスタートした。現在は栗東、守山両市と共同運行する「くるっとバス」をあわせて7路線が走る。
コロナ禍を経て24年に策定した市地域公共交通計画では、▽交通不便地の解消▽移動ニーズに応じた運行改善・利便性向上▽交通弱者の移動支援――などを課題として挙げ、利便性の高い持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を目標に掲げている。
ただ、利便性は十分とは言い難い。学区のまちづくり協議会とワークショップを開き、模索を続けるが、山田線は右回り、左回り計1日12便で、同じく湖岸方面を周遊する草津駅下笠線は5便とさらに少ない。市交通政策課は「運転手不足などもあり、便数を増やすことは難しい」という。
収支面も苦しい。22年10月~23年9月の運行経費約1億700万円に対し、運賃収入は約1485万円にとどまる。
効率化と小回りの利く機動性の観点から、市は20年に「まめタク」を導入したが、それも同期間の運賃収入は約33万円、収支率はわずか8・2%だ。
まめタクも利便性で難がある。利用者の要望に応じたオンデマンド型で、タクシー車両を使うが、まめバス同様に路線と停留所があり、時刻表に従って運行されている。
だが、「タクシーを思わせる名称のせいか、好きな時間に家まで迎えに来てくれると思うお年寄りが多い」と、同協議会の副会長(72)は頭を悩ませる。駅や病院に行く場合に乗り換えが必要な地域もあり、「乗り換えが難しい」との声もある。
告示前の今月2日に行われた公開討論会では、すべての立候補者が公共交通の充実を重点課題として挙げた。「湖岸の地域にも、もう少し力を入れてほしい」という切実な声を、どのように改善していくのか。新市長の手腕に、市民が注目している。
出典:読売新聞オンライン