太陽光施設や新築現場 標的
銅線ケーブルなど金属が盗まれる被害が急増している。昨年は260件で、今年も5月末までに68件が確認されている。県警は、被害が相次いでいる太陽光発電事業者に防犯カメラの設置を呼びかけ、盗品を買い取っていないか金属回収業者に立ち入り検査をするなど対応を急いでいる。(青山大起)
県警 対応急ぐ
銅の高騰
草津署などは今年1月、大津市のマンション新築工事現場から銅線75点など(約177万円相当)を盗んだとして、京都市山科区の男2人を建造物侵入と窃盗の疑いで逮捕した。盗まれた電気工事会社社長の男性(76)は、読売新聞の取材に「
男性は50年近く電気工事の仕事を続けており、これまでに10回以上の窃盗被害に遭っているという。被害届を出すと警察の現場検証に立ち会うことになり、時間と労力を考えると「ほとんど泣き寝入りするしかない」と肩を落とす。
県警によると、2020年に約1000万円だった県内での金属窃盗の被害額は、昨年には約1億4700万円と15倍近くに膨れ上がっている。太陽光発電施設での大量窃盗が多発しているほか、防犯カメラを設置していない駅前や市街地の新築現場でも発生しているという。
背景には、銅価格の上昇がある。警察庁のまとめによると、銅は20年以降に値上がりしており、21年は1キロ・グラムあたり平均約952円だったのが、23年には平均約1131円まで上昇。アルミニウムや鉄に比べても、高額で取引されているといい、「銅は再生可能エネルギーによる発電や電気自動車に必要不可欠で需要は高まっており、今後も高額での取引が続く」と指摘している。
回収業者を指導
県警は被害の拡大を受け、金属回収業者に売買時の本人確認などを義務づける県の「金属
ただ、同様の条例が制定されているのは17道府県(今年1月現在)にとどまっている。滋賀県に隣接する京都府や三重県に条例はないため、滋賀県内での被害品が近隣府県の業者に持ち込まれているケースもあり、いたちごっこになっているのが現状。政府も対策に乗り出しており、今月13日には金属くずの買い取り業者の規制を強化する盗難金属処分防止法(金属盗対策法)が国会で成立した。
県警生活安全企画課は「同法の成立で全国一定の規制が課せられるようになる。県内の金属盗が減るとともに、盗品処分の入り口となる業者の意識がより一層高まることを期待している」としている。