守山のマリーナ 「ブルーフラッグ」
守山市水保町の「ヤンマーサンセットマリーナ」に、国際的に最も歴史のある環境認証制度「ブルーフラッグ」がアジアの湖として初めて与えられた。マリーナ関係者は「日本で一番大きな琵琶湖で行っている(環境)活動を世界に発信していきたい」と意気込んでいる。(河村真司)
湖でアジア初 保全活動実る
ブルーフラッグは1985年にフランスで始まった制度で、デンマークに本部がある国際NGO「国際環境教育基金(FEE)」が審査や運用を行い、これまでに欧州を中心に51か国、約5200か所が取得している。日本では2016年に若狭和田ビーチ(福井県)と、由比ガ浜海水浴場(神奈川県)がアジアで初めてビーチ部門で取得。4月10日にヤンマーサンセットマリーナが加わり、国内ではビーチ12か所、マリーナ3か所となった。
琵琶湖大橋や比良山地を望む水辺にあるヤンマーサンセットマリーナは、水上レジャーを楽しむクラブハウスだけでなくホテルもあり、穏やかな時間を過ごすことができる。だが、地球温暖化の影響は年々大きくなり、夏場は水草が大量発生してボートのプロペラに絡むなどの報告も利用者から届くようになった。同マリーナの三石孝総支配人は「夏場は辺り一面を覆う水草刈りが一番の仕事になった」と漏らす。
環境が変化する中、琵琶湖の恵まれた自然をこの先も守ろうと、同マリーナでは環境保全や安全対策に厳しい基準を設けているブルーフラッグの認証を目指すことを決めた。▽有害物質の保管施設▽有害物質を下水や土地、水に流し込ませない▽ごみのリサイクル――など37項目の基準をクリアする必要があり、施設内の全照明を発光ダイオード(LED)に取り換えつつ、船舶の廃油保管場所には屋根を設けるなど約500万円の設備投資も行った。
水草は、レストランから出る生ごみなどとともに、施設内の
若狭和田ビーチは認証後、27年に開かれる生涯スポーツの国際大会「ワールドマスターズゲームズ」のライフセービング会場に選ばれるなど、効果は大きい。海外からの認知度向上や話題に上がる機会も増えたといい、福井県高浜町産業振興課の仲野博之課長補佐は「美しい浜を守り、次の世代につなぐという意識がより強くなった」と話す。
5月21日には同マリーナによる報告会が守山市役所であり、三石総支配人は「この環境をいつまでも守っていくためには、我々が努力しないといけない」と環境負荷を減らす取り組みの必要性を強調。森中高史市長も「唯一無二の琵琶湖の価値を伝えるきっかけになれば」と応じ、ブルーフラッグ効果に期待を寄せた。