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更生に伴走 探り続ける 

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大津・保護司殺害1年

 昨年5月、大津市の保護司新庄博志さん(当時60歳)が自宅で殺害された事件は、26日で発覚から1年となった。保護司仲間の一人、彦根市の平田 敦之あつし さん(62)は「1年だからではなく、新庄さんのことを忘れずに毎日振り返って、彼の思いを胸に前に進んでいかないといけない」と話している。(東川直央)

彦根の仲間 「新庄さんの思い胸に」

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保護観察対象者らと植栽したバラの前で、更生保護活動について語る平田さん(彦根市で)

 平田さんが保護司会長を務める彦根保護区では、独自の更生保護活動として、バラやヒマワリの植栽や寺子屋事業を行っていた。参加者が借金や就労、障害など様々な「生きづらさ」を打ち明けてくれるようになってきたものの、平田さんは解決する すべ がなく悩んでいた。2023年の初め頃、県更生保護事業協会の事務局長だった新庄さんから「新しい事業をしたい」と誘われた。詳しい話もなく、自らの活動で精いっぱいだった平田さんは、県内で九つある保護区の中で唯一参加を断った。

 その事業は、保護司を「要」に様々な悩みを抱える人たちを地域社会全体で協力して支えることを目指す「滋賀KANAMEプロジェクト」で、新庄さんの発案で23年4月に始まった。しばらくして、「彦根のためにやってるんですよ」と新庄さんから電話がかかってきた。「生きづらさを抱えた人の悩みを相談機関につなげられるネットワークづくりをしたい」と説明され、参加を決意。「それを早く言って、という感じだった」と振り返る。

 彦根のために動いてくれた新庄さんを亡くし、平田さんは「身内を失ったような感じがしている」と話す。保護観察対象者を更生させることに意識が向かいがちだったが、事件後は、対象者が起こした事件の被害者にも思いを巡らせるようになったといい、「被害者は本当につらい思いをしている。だからこそ、保護司をやめてはいけないし、立ち止まってはいけない」と力を込める。

 一方、保護司は実質的な民間ボランティアで、事件を受けて家族から「やめたら」と言われた人もいるという。彦根保護区では、何か不安に感じる場合は面接の前に一度、対象者に「明日が面接だけど大丈夫?」「今日の夕方来られる?」などと電話をするようにした。危機管理の一環で、相手の反応次第では面接を先延ばしにする対応を取っている。

 ボランティアだから、そこまでする必要はないと言われることもある。しかし、「役人じゃないからこそ、前例を打ち破れる。新しい更生保護の切り口を考えなければならない」と平田さん。いかに再犯率や事件を少なくするか。そのためにも、「プロジェクトを途中で投げ出すことはできない」と気を引き締めている。

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[紹介元] YOMIURI ONLINE 更生に伴走 探り続ける 

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