心肺停止者に自動体外式除細動器(AED)をいち早く届けるため、大津市消防局が募集する「救命ボランティア」の登録者が目標の500人を超えた。119番があれば、近くの登録者にAEDを入手して持参できる経路などを専用アプリ「AED GO」で通知する仕組みで、実際に届けられた例もあるという。担当者は「登録者が増えるほど救命率も上がる」と協力を訴える。(角川哲朗)
大津市消防 協力要請アプリ

救命ボランティアの仕組みと、核となる専用のスマートフォンアプリは、京都大とソフトウェア開発会社「ドーン」(神戸市)が共同で開発。心肺停止からAED使用までの時間を短縮するため、公益財団法人日本AED財団が普及を目指している。2017年以降、愛知県尾張旭市、千葉県柏市、奈良市で導入され、4例目の大津市は昨年7月に運用を始めた。
市民の協力が必要な通報が入ると、市消防局通信指令課の消防指令センターは、心肺停止者から半径約1・2キロ圏内の登録者に通知する。さらに、対応可能と回答した登録者のスマホ画面には、AEDの設置場所や心肺停止者までの最短ルートを表示。AEDを取りに寄ったうえで現場まで持参し、可能なら救命措置も施すよう依頼する。
アプリには、同センターから現場の状況や、詳しい位置などを共有するチャット機能のほか、市内に480台あるAEDの設置場所も収録されている。
同課によると、20年に1万5808件だった市内の救急出動件数は、24年には2万830件に増加。それに伴って救急車が現場に到着するまでの時間は延び、現在は平均8~9分程度という。救命率は心肺停止から1分ごとに10%ずつ低下するとされるが、22~24年の心肺停止1002件のうち、市民らがAEDを使って救命措置を施した事例は15件にとどまった。
同課は救命ボランティアの仕組みとアプリの導入により、AEDの使用事例が増えると期待する。運用開始と同時に登録者の募集を始めると、その月のうちに268人が集まり、25年度中の目標としていた500人の半数を突破。昨年12月には620人となった。
これまでに9回の協力依頼があり、昨年8月には、登録者が自転車で近くの公共施設にAEDを取りに行き、救急隊が到着する直前に現場に届けた。
医療に関する知識や資格は必要なく、ホームページや動画投稿サイトYouTubeで登録方法も紹介している。同課の担当者は「より多くの人に興味を持ってもらい、登録してもらいたい。助け合う共助の考えが浸透するきっかけにもなってくれれば」としている。問い合わせは同課(077・522・0119)。