24年度、小中高など 教員の早期発見 要因
文部科学省の「問題行動・不登校調査」で、2024年度に県内の小中高校などで認知されたいじめの件数が13年連続で過去最多を更新した。県教育委員会は「教員が対応の重要性を理解して早期発見するなど、子どもたちの変化を見逃さない取り組みが奏功した」と分析しつつ、「いじめで嫌な思いをしている子は多くいる」と、児童生徒に寄り添う環境づくりを進めるとしている。(青山大起)
県教委 不登校支援に力
調査は、文科省が全国で毎年実施。24年度は、県内では国公立と私立の小中高校、特別支援学校の全402校が対象で、県教委が学校におけるいじめや暴力行為、不登校の状況などをとりまとめて公表した。
いじめを認知した学校は全体の95・3%にあたる389校で、認知件数は1万3540件(前年度比1586件増)。内訳は小学校9998件(同1100件増)、中学校3315件(同512件増)、高校202件(同20件減)、特別支援学校25件(同6件減)だった。いじめを原因とした心身への重大な被害や不登校を余儀なくされている疑いのある「重大事態」は17件で、前年度に比べて9件少なかった。
学校での暴力行為の発生件数は2478件(同956件増)。小学校では、自分の感情をコントロールできずに教師に暴力を振るうなど、1人の児童が繰り返し行うケースが特に低学年で目立ち、1577件(同776件増)とほぼ倍増した。
また、不登校の児童生徒数も過去最多の5375人(同244人増)となり、8年連続で増え続けている。理由としては▽生活リズムの不調▽不安・抑うつ▽学校生活に対してやる気が出ない――などが多かった。
県教委は、支援につながっていない不登校の子どもをゼロにすることを目標に、今年3月に「しがの学びと居場所の保障プラン」を改定。教室になじめない児童生徒を個別に校内で支援する「SSR(スペシャルサポートルーム)」や、児童相談所や病院と積極的に連携してオンラインでの配信授業を実施するなど、子どもの状態に応じた学びの機会の創出に力を入れている。
県教委児童生徒室は「不登校の生徒を無理やり学校に戻すのではなく、子どもにとって最も良い環境を個別に考えることが大切」と強調。「新たな不登校の児童生徒を減らしつつ、誰もが教育を受けられる受け皿をきちんと整えられる取り組みを進めていく」としている。
