東近江・佐々木さん 装備やルート紹介
ネパール・ヒマラヤ山系マナスル(8163メートル)の初登頂に成功した東近江市の佐々木司さん(49)の歩みを紹介する企画展「マナスルみやげ」が、同市横溝町の博物館「西堀栄三郎記念探検の殿堂」で開かれている。両親が同市出身の探検家・西堀栄三郎(1903~89年)とネパールの関係なども紹介しており、佐々木さんは「両国の架け橋となる活動をしたい」と話す。(中村総一郎)
「日本とネパール 架け橋に」
佐々木さんは大阪府堺市出身。2012年、日本海から大山(鳥取県)の頂上を目指すスポーツ大会「SEA TO SUMMIT」をきっかけに登山を始めた。17年から東近江市の鈴鹿10座エコツアーガイドクラブに所属し、19年にヒマラヤ・ヤラピーク、22年には同アイランドピークに挑戦。現在は同市の里山体験施設「布引の森」に勤務する。
マナスルの初登頂では、24年9月5日に麓にあるサマ村(標高3520メートル)に到着し、同13日にベースキャンプ(4800メートル)を出発。体を高度に順応させるために、途中まで登っては戻るという動きを繰り返し、25日午前9時10分に頂上に立った。
佐々木さんは「登頂した瞬間は『なんて大きな山なんだ。下りるのは大変だ』と思ったぐらいで意外と冷静だった。サマ村に戻ってから『あの山頂まで行ったんだ』と初めて実感がわいた」と明かす。
会場には登頂時のウェアや装備を展示。2階に上がる階段の壁面には、登頂途中に設けたキャンプ地点と標高を記したルートや写真のパネルを並べ、佐々木さんの足跡を追体験できるよう工夫した。
「マナスル登頂は一部の冒険家のものだ、というイメージがあるが、それほど非現実的なものではない」という佐々木さん。同時期に登山申請した人が300人近くいたことや、嵐の来る前に登ろうとして山頂手前で登山者が渋滞したエピソードもパネルで紹介する。
一方、西堀栄三郎に関する展示は、1956年に日本隊がマナスルの世界初登頂を果たした際、ネパール国王と直接交渉し登山許可を得た功績などを説明する。
佐々木さんも下山後は、同国の外務大臣や大統領補佐官らと両国の交流について意見交換したという。「新たな扉をこじ開けた西堀さんの行動力をリスペクトしている。私はネパールにやりたいことをやりに行っただけだが、登頂後は日本と同国をつなぐ活動をしたいという気持ちになった」と話す。
会期は10月26日までで、午前10時~午後6時。月、火曜と9月17、24日、10月15日は休館。高校生以上300円、小中学生150円。問い合わせは探検の殿堂(0749・45・0011)。