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疎開の絵平和願い寄贈 成瀬國晴さん東近江市に

疎開の絵平和願い寄贈 成瀬國晴さん東近江市に
疎開の絵平和願い寄贈 成瀬國晴さん東近江市に
寄贈したイラストを前に当時の疎開生活を振り返る成瀬さん(東近江市で)

太平洋戦争末期、大阪市から現在の東近江市に学童疎開していたイラストレーター、成瀬 國晴 さん(90)(兵庫県宝塚市在住)が疎開生活を描いたイラスト原画77点を、東近江市に寄贈した。成瀬さんは「この絵はボクの子どもたち。第二のふるさと東近江市に置いていただけることで、ずっと引きずっていたボクの戦後は終わった」と、平和を願う気持ちをイラストに託した。お披露目を兼ねた個展が同市の市能登川博物館で開かれている。10月4日まで。(中村総一郎)

成瀬さんは、大阪市の国民学校3年生だった1944年8月、同学年の児童と東押立村(現東近江市)に疎開。終戦後の翌年9月まで、寺で寄宿した日常生活を思い出しながら描いたイラストを、学童疎開開始から70年にあたる2014年、画集「時空の旅」(たる出版)として出版した。

イラストは、学校を出発する場面から、終戦後に迎えにきた家族と大阪へ帰郷するまでを優しい筆致の水彩や墨絵で時系列で描いた。イラストを描くため、成瀬さんは再び東近江市を訪れるなど取材に3年を要したという。

五右衛門風呂に入ったり、虫捕りに興じたりという楽しい田舎暮らしを描いたものばかりではない。離れて暮らす母親の顔と夜空の月を重ねた「母恋し」、豪雪の中、母親が面会に来てくれた場面を描いた「母が来た」など家族に対する郷愁を描いた作品もある。

空襲に備えて子どもたちも作業に打ち込んだ「防空 壕 づくり」、墜落した米戦闘機を恐る恐る見に行った「グラマンの翼」など、終戦が近づくにつれて戦争が身近に迫っていることをうかがわせるモチーフが増えていく。成瀬さんは「戦争が自分の頭の上にあったと描きながら感じた」と振り返る。

成瀬さんも家族も無事だったが、大阪の自宅は焼失。成瀬さんは「疎開生活はつらいこともあったが、しもやけになった足を手当てしてくださった方にご恩がある」と、戦後20年たった頃から毎年8月15日にその家庭を訪ねていたこともある。成瀬さんは「(寄贈は)世話になった村の方々、このまちへの恩返し。ボクがいなくなっても見てもらえる。平和への思いを後の時代にバトンタッチしたい」と話す。

問い合わせは市能登川博物館(0748・42・6761)。

出典:読売新聞オンライン


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