昨年度 市、出没地図で注意喚起
大津市内でクマが目撃されるケースが相次いでいる。2024年度は足跡などの痕跡を含めた目撃情報が52件で、20年度以降で最多を記録。今年度に入ってからも11件の目撃があり、中でも6月に7件と集中している。クマ出没の増加傾向を受けて、市は出没場所の地図を改良するとともに、「被害に遭わないよう対策をしっかりと行ってほしい」と注意を呼びかけている。(角川哲朗)
今年度11件 6月に集中
市内でのクマ目撃情報は20年度3件、21年度7件、22年度0件、23年度10件と比較的少なかったが、24年度に52件と急増。それまでは市北部が大半だったが、24年度は富士見台など市南部にも広がっている。県鳥獣対策室は「昨年はクマの主食であるブナやミズナラなどの木の実が少なかったため、クマが県南部に下りてきたのでは」とみている。
今年度は▽北大路(4月2日)▽比叡平(5月16日)▽北比良(20日)▽和邇北浜(28日)▽大石富川(6月4日)▽北比良(同)▽青山(6日)▽桐生(同)▽葛川梅ノ木町(7日)▽伊香立下在地町(8日)▽牧(9日)から情報が寄せられており、1日に2件あったことも。同対策室は「冬眠明けはエサを探して行動範囲が広がるが、なぜこの時期にこれほど目撃が増えているのかは分かっていない」とする。
市はこれまで独自の地図サービス「マイタウンおおつ」でクマの出没情報を公開していたが、「見づらい」という市民からの指摘に加え、市街地に比較的近い場所での目撃情報の増加など出没範囲の拡大に対応するため、24年10月からオンラインの地図サービス「グーグルマップ」に移行。見やすさも改善した。
地図では、市や県、県警などと連携して得たクマの目撃情報のほか、クマと断定できなくても、市民の安全のために載せるべきだと判断した情報は「クマらしき動物」や「クマらしき動物の痕跡」といった表現で掲載。市民からの情報提供は内容を精査した上で、速やかに地図に反映させて注意喚起につなげている。
地図には過去のデータも入力されており、23年度以降については年度別で出没位置を検索できる。また、目撃情報をクリックすると詳細がわかるようになっている。
県内では今年4月、長浜市の住宅地で女性が路上でクマに襲われ、腕をかまれるなどして重傷を負う事案も起きている。大津市農林水産課は「地図を参考に、出没した場所の付近を出歩く際は気をつけてもらいたい」としている。