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文化で興す 湖国の魅力 近江ARS

文化で興す 湖国の魅力 近江ARS

編集工学・松岡さんの遺志継ぐ

 昨年8月に80歳で亡くなった編集者で著述家の松岡 正剛せいごう さんが、滋賀の歴史文化や自然を見つめ直しながら隠れた日本の姿を探そうと、2021年に発足させたプロジェクト「近江 ARSアルス 」。松岡さん亡き後も、メンバーたちは「経済中心の地域おこしではなく、文化を興そう」と三井寺(大津市)を拠点に活動を続けており、15日には仏教にまつわる講話を開く。(林華代)

三井寺拠点に活動 15日講話

文化で興す 湖国の魅力 近江ARS
松岡さんの近江への思いを継ぎ、活動を続ける福家長吏(右)ら(大津市で)
松岡正剛さん
松岡正剛さん
松岡さんが編著を手がけた「別日本で、いい。」
松岡さんが編著を手がけた「別日本で、いい。」

 松岡さんは京都府生まれで、多分野を融合させて新たな知を見つける「編集工学」の提唱者として知られる。父親が長浜市出身で、湖北の十一面観音巡礼などに魅了された白洲正子の紀行文にも影響を受けたという。

 松岡さんが近江に深く関わるようになったのは19年。松岡さんが座長の企業塾に参加していた「中山倉庫」(大津市)の中山雅文社長が、県民からも「琵琶湖以外は何もない」と言われることにもどかしさを感じる中で、「近江の魅力を語る言葉が見つからない。松岡さんに滋賀に関わってもらいたい」と声をかけた。中山社長が三井寺の福家俊彦長吏と引き合わせると、若い頃から仏教に興味があった松岡さんは意気投合。そこから輪が広がっていった。

 「ARS」は「Another Real Style」の頭文字。建築や仏教美術、大津絵、信楽焼といった伝統文化からサブカルチャーまでを掘り起こし、編集工学的な発想で近江が持つ可能性を再構築して、新たなスタイルを追求していこうと結成した。

 老舗の蔵元や会社経営者、博物館学芸員など、職業も立場も超えた約30人が参加。昨年4月にはメンバーらで「別日本で、いい。」(春秋社、税込み3300円)を刊行した。「近江、日本の可能性が詰まった貯蔵庫のような本」(福家長吏)という意欲作だが、編著を担当した松岡さんは、その4か月後に肺炎で亡くなった。

 近江ARSは、出版以外にも、長浜市の「観音の里」や湖岸集落巡りや、月に1度の対話サロン、福家長吏らが仏教を解きほぐす「 還生げんしょう の会」などの試みを行っている。15日午後1時半からは三井寺で、同会の一環として、 叶匠寿庵かのうしょうじゅあん の菓子と、境内の古樹から摘んだ三井寺茶のもてなしのほか、「心はどこへ」と題して英文学者の高山宏さんや、石山寺の鷲尾龍華座主らが話す。

 今後の近江ARSについて、福家長吏は「若い人も加わって、我々を 攪拌かくはん してほしい」と、新たなメンバーの参加に期待を寄せている。

 15日の講話は参加費1万3000円(学生は3000円)。14日正午までにホームページ(https://hyakkenmarket.jp/)から申し込む。問い合わせは、メンバーの和泉佳奈子さん(izumi@hyakken.co.jp)。

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