
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に昨年登録された、大津祭初期の様子を描いた絵巻「 四宮 祭礼図絵巻」が発見された、と大津市歴史博物館が発表した。当時の祭礼行列を描いた絵画の発見は初めて。祭が始まって間もない江戸前期の制作とみられ、初期の様子を伝える貴重な資料となる。(生田ちひろ)
「四宮祭礼」は、大津祭の旧称。 曳山 巡行は安土桃山期末~江戸初期の慶長年間(1596~1615年)に始まったとされる。2016年に国の重要無形民俗文化財に指定され、昨年12月に無形文化遺産に登録された。現在はそれぞれ異なるからくり人形が乗った13基の曳山が巡行する。
絵巻は縦31センチ、横約10メートル。現代も毎年巡行の先頭を行く「 狸 山」(現・西行桜狸山)が先導し、 猩々 山、湯立山、西王母山など計6基の曳山が並ぶ。 神輿 のほか、現在は見られない、町人らの仮装行列「ねりもの」もあり、行列の最後には祭礼を行う天孫神社(大津市京町)の神事と社殿が描かれている。見物人の姿もにぎやかだ。
曳山の数が現代より少なく、曳山もからくり人形がそのまま置かれているだけの造りだ。作者は不明だが、 金箔 や岩絵の具をふんだんに使って祭礼の熱気を伝えており、当時の一流絵師とみられるという。
大阪青山歴史文学博物館(兵庫県川西市)の所蔵。詳しい調査はされていなかったが、昨秋、所蔵品整理の際に「大津祭と思われる絵巻がある」との連絡が大津市歴史博物館にあり、調査していた。
大津祭の歴史を記した書物「四宮祭礼 牽山 永代伝記」(大津市指定文化財)の江戸前期の様子ともほぼ一致する。一方、現在の曳山は三輪だが、絵巻では四輪で描かれるなど記録と異なる部分もあり、今後も調査や研究が必要という。
大津市歴史博物館の木津勝副館長は「実態が分からなかった江戸前期の大津祭の様子が視覚的にイメージできる。現代と比較しながら想像してほしい」と話している。
8日~11月1日に博物館で特別展示される。10月18日午後2時~同3時半、木津副館長による講座(一般500円)もある。9月30日までに申し込みが必要。問い合わせは博物館(077・521・2100)。
大津祭の専門家らによる「ユネスコ登録記念講演」が19日午後1~5時、大津市のピアザ淡海で開かれる。
大津祭曳山連盟や市などでつくる協議会の主催。元市歴史博物館副館長の和田光生氏が概要を説明し、武蔵大の福原敏男教授が、ユネスコ無形文化遺産に大津祭が追加登録された「山・ 鉾 ・屋台行事」の特徴などを紹介する。
からくり人形を修理してきた工学博士・石榑康彦氏(岐阜県大垣市)が「機械工学から見た大津祭のカラクリ」を、宮大工の太田雄介氏が「大津祭車輪の構造・安全・継承」をテーマにそれぞれ話す。
無料。事前予約不要。問い合わせは協議会事務局の大津祭曳山展示館(077・525・0505)。
出典:読売新聞オンライン