作業手順チャート■気分落ち着かせる部屋 若者に必要広まって
障害のある若者が安心してアルバイトをできる場として、東近江市の一般社団法人が市内でカフェバー「14スポーツBAR&CAFE」(14カフェ)を運営している。営業は原則週1日で、神経発達症(発達障害)の高校生ら3人がドリンクや軽食を提供。働きながら社会に出る準備をしている。同店代表の高橋平さん(47)は「同様の場所が日本中に広がってほしい」と願う。(香山優真)

14カフェは、障害のある高校生らに働く意義や喜び、お金の価値などを学んでもらう目的で、障害児向けスポーツクラブなどを展開する同市の一般社団法人「
営業は原則毎週水曜の2時間。アルバイト店員は自閉スペクトラム症を含む発達障害や知的障害の3人で、高橋さんやボランティアに見守られながらコーヒーやワインのほか軽食を提供し、客のいない間は自由に過ごす。
店内では、特別支援学校の教員の助言を基に働きやすい環境を整えた。
曜日の把握や働く意欲の維持が苦手な店員がいるため、1か月分の日にちを横に並べ、次の出勤日や謝礼の支給日までの日数を一目で把握できるようにした帯状のカレンダーを使用。気分を落ち着かせてパニックを防ぐ「カームダウンルーム」や、作業手順を矢印で示したチャート、次にやるべきことの選択肢を口頭で聞いても理解できない場合に書き出して整理できるカードなども用意した。

最年長店員の藤井和香さん(19)は、県立甲良養護学校高等部を卒業後、県内の就労継続支援B型事業所(B型事業所)で働いていたが、工賃が時給換算で数百円だったため3か月で辞めたという。14カフェでは3人のリーダー的な役割を担いつつ、仕事の合間には趣味の読書をしたり、書評や小説の執筆に取り組んだりしている。
1時間あたり800円の謝礼は本の購入費に充てており、「仕事はしんどくて、つらいのが当たり前だと思っていた。今は、すごく穏やかな気持ちで楽しく働ける」と喜ぶ。
一方、県立八日市養護学校高等部に通う堤勇斗さん(17)と山田遼真さん(16)には金銭感覚を身につけてもらおうと、ゲームや好きなサッカー選手のユニホームなど買いたい物を決めてから、購入に必要な労働時間をアルバイトの目標として設定する方法を取り入れた。謝礼が目標額に達すれば高橋さんが買い物に同行して支払い、次の目標を決める際にも助言するため、2人のやる気にもつながっているという。
こうした工夫が評判となり、アルバイトの希望者は多い。だが、補助金などの公的支援がないため店の経営は厳しく、高校生を送迎するボランティアも不足していることから、これ以上は営業時間と雇用人数を増やせないのが現状だ。
高橋さんは「障害者も働いて得たお金の使い道を考え、余暇を充実させてこそ穏やかに暮らせるが、アルバイトの選択肢はほとんどなく、特別支援学校での職場体験も社会に出る準備としては不十分だ。14カフェのように安心して働ける職場が増えるよう、事業を継続させて社会に必要性を伝えたい」と話している。