貝殻、ライター、流木、カメの甲羅……。「ごみ拾いというより宝探し」と、琵琶湖で漂着物を集めているアーティストたちがいる。美術家の石川亮さん(54)、デザイナーの井上実奈美さん(28)、木版画家の山田真実さん(30)の3人で「びわ湖の庭師」と名乗り、それぞれの方法で漂着物をアートに変え、自然環境や水辺の暮らしなどを見つめ直す場をつくろうとしている。(小手川湖子)
美術家ら3人…はんこ、ワークシートに

3人は成安造形大地域実践領域の研究室に所属。2020年、教授でもある石川さんが浜辺で漂着物を収集する「ビーチコーミング」の琵琶湖版ともいえる活動を始めた。最初の頃は、山と湖の関係を考えようと流木を中心に拾っていた。「流木を見ていたら、あちこちに“宝物”が落ちていることに気づいた」といい、次第に助教の山田さんと、アシスタントの井上さんも参加するようになった。
漂着物には歴史が詰まっている。高島市マキノ町海津で見つけたのは、「くらわんか
他にも、湖岸でバーベキューをした人が捨てたと思われるサザエの貝殻や、朽ちたプラスチック片などが湖岸に打ち上げられている。石川さんは「我々の生活の痕跡が全部交ざって湖岸にある。単なる収集ではなく、風土と向き合う行為で、環境と文化のつながりを再考する場」と語る。
山田さんは、漂着物のイラストを実物より少し小さいサイズのはんこに彫っており、「はんこという形で複製して、漂着物の特徴を際立たせている」と話す。井上さんは「多くの人に漂着物について伝えることはできないか」と考え、ワークシートを考案した。

石川さんいわく、庭師とは、小さな実践を積み重ね、環境の見つめ方を変え、生きる場所を一緒につくっていく人を指す。琵琶湖を一つの庭と捉え、汚すも、きれいにするも、何かを生み出すも庭師次第であることを発信していきたいという。
3人の主な活動は「びわ湖の庭」と名付けた体験教室。同大学のオープンキャンパスや県立美術館(大津市)で拾い集めた漂着物を展示するほか、県内の湖岸などで参加者に実際に拾ってもらう。また、山田さんが制作したはんこを押したり、漂着物をすごろくの駒にして遊んだりするほか、井上さんのワークシートにある▽何色か▽感触はどうか▽なぜ選んだのか――といった設問を通して、漂着物に向き合い、そのルーツを探す。
「物を大量に生産して、組み合わせるだけが創造活動ではなく、捨てた物の履歴を分解して