事業所など対象 高島でセミナー
住民と交流 ■ トラブル予防
県内のインバウンド(訪日外国人客)増加に合わせて、外国人観光客向けのビジネス対応力を高めようと、高島市内の中小企業や個人事業主、スタートアップ(新興企業)などを対象にしたビジネスセミナーが4日、同市で始まった。参加者らは「地域と観光客がウィンウィンの関係になるよう学びを深めていきたい」と意気込んでいる。(角川哲朗)
国内では、コロナ禍が一段落し、2024年の訪日外国人客数は3687万人と過去最高を記録した。高島市では、コロナ禍前に400万人台だった総観光客数が、コロナ禍で一時減ったものの、その後は300万人超で推移。湖上に浮かぶ大鳥居で有名な白鬚神社(鵜川)やメタセコイア並木(マキノ町)などが外国人に人気で、市によると、コロナ禍以降の訪日外国人客数は増えているという。
こうした中、高島地域雇用創造協議会は、市内の事業所や経営者らを対象に、インバウンドの観光動向や集客方法、異文化に関する知識などを学んでもらおうとビジネスセミナーを開催。4日に同市の市観光物産プラザであった初回は、県内で英語ガイドツアーを行う「悠ツアー」(大津市)の森聖太代表(49)を講師に迎えて行われた。
森さんは、市内外で実施した外国人ツアーの現状を紹介。24年は220人の外国人を迎えたといい、「日本人の暮らしやなりわい、日常に強い関心を持っているのが特徴だ」と説明した。
その上で、観光客とガイド、地元住民の双方向コミュニケーションが重要と強調。「地域住民と一緒に地元食材を食べるなどのふれあいを大切に取り組んできた」と話した。
一方で、「言語や文化の違いによるトラブルが起きる可能性がある。ゴミや騒音など地域に負担をかけないよう配慮しないと持続はできない」と注意を促した。
この日は、参加した市内の事業所の担当者ら9人が、それぞれの思い描くビジネスの形などを語り合い、意見交換。参加した同市マキノ町のカフェ経営、井花弥生さん(60)は、台湾やニュージーランドからの観光客が来店しているといい、「コミュニケーションが思うようにとれずもどかしいこともある。効果的な方法を学びたい」と感想を述べた。
講座は今月末まで計4回実施。今後は、商品やサービスの価格設定のほか、満足度を向上させる接客のヒントなどについて実践的な講座を行う。
森さんは「ブームに乗るだけでなく、どうすれば地域のためになるか考える機会になれば。地域も自分も観光客もハッピーになるような事業ができるよう手助けしたい」と話している。