編集工学・松岡さんの遺志継ぐ
昨年8月に80歳で亡くなった編集者で著述家の松岡
三井寺拠点に活動 15日講話
松岡さんは京都府生まれで、多分野を融合させて新たな知を見つける「編集工学」の提唱者として知られる。父親が長浜市出身で、湖北の十一面観音巡礼などに魅了された白洲正子の紀行文にも影響を受けたという。
松岡さんが近江に深く関わるようになったのは19年。松岡さんが座長の企業塾に参加していた「中山倉庫」(大津市)の中山雅文社長が、県民からも「琵琶湖以外は何もない」と言われることにもどかしさを感じる中で、「近江の魅力を語る言葉が見つからない。松岡さんに滋賀に関わってもらいたい」と声をかけた。中山社長が三井寺の福家俊彦長吏と引き合わせると、若い頃から仏教に興味があった松岡さんは意気投合。そこから輪が広がっていった。
「ARS」は「Another Real Style」の頭文字。建築や仏教美術、大津絵、信楽焼といった伝統文化からサブカルチャーまでを掘り起こし、編集工学的な発想で近江が持つ可能性を再構築して、新たなスタイルを追求していこうと結成した。
老舗の蔵元や会社経営者、博物館学芸員など、職業も立場も超えた約30人が参加。昨年4月にはメンバーらで「別日本で、いい。」(春秋社、税込み3300円)を刊行した。「近江、日本の可能性が詰まった貯蔵庫のような本」(福家長吏)という意欲作だが、編著を担当した松岡さんは、その4か月後に肺炎で亡くなった。
近江ARSは、出版以外にも、長浜市の「観音の里」や湖岸集落巡りや、月に1度の対話サロン、福家長吏らが仏教を解きほぐす「
今後の近江ARSについて、福家長吏は「若い人も加わって、我々を
15日の講話は参加費1万3000円(学生は3000円)。14日正午までにホームページ(https://hyakkenmarket.jp/)から申し込む。問い合わせは、メンバーの和泉佳奈子さん(izumi@hyakken.co.jp)。